「採用か外注か」より先に確認すべき問い|人員不足と営業機能不足の切り分け方
コラム

「採用か外注か」より先に確認すべき問い|人員不足と営業機能不足の切り分け方

営業代行に限らない外部活用の選択肢と、内製か外部かを判断するための五つの観点を整理します。

執筆 カクトク編集部 監修 竹島和史 2026/4/15

営業の打ち手を検討するとき、すぐに採用か外注かの議論になりやすいです。ただし、その前に確認すべき問いがあります。足りないのが人員なのか、営業の機能そのものなのかです。ここが曖昧なまま採用と外注を比べると、費用や人数の議論だけが先行し、本来立ち上げたい営業の形とかみ合わないまま発注や採用が決まってしまいます。

打ち手は、人員が課題なら正社員の増員と一定期間の外部活用の両方が、営業機能が課題ならどの営業の型を社内に持つかの定義が出発点になります。外部活用を「営業代行会社に頼む」ことと同一視すると選択肢が狭まりますが、実際には個人・プロフェッショナル人材・営業チーム単位まで広がっており、社内にない営業機能を立ち上げる現実的な打ち手になります。

  • 要点①(論点の順番):採用か外注かより先に、人員を足す課題か、営業機能を足す課題かを切り分けます。
  • 要点②(選択肢を広げる):営業代行に限らず、個人のプレイヤー、プロフェッショナル人材、営業チーム単位の活用まで、外部活用の比較対象に含めます。
  • 要点③(判断軸の整理):期限・機能・社内に残すもの・統制・経営の関与の五つの観点を、整理できる形で示します。

先に立てるべき問い:人手か、営業機能か

まず確認したいのは、不足しているのが人数なのか、社内にまだない営業機能なのかです。前者なら採用計画と教育の設計が中心になります。後者なら、チームとして回す設計や、手順と品質基準の言語化が先に来ます。

たとえば前者は、既存の営業プロセスは機能しているが商談数・架電数を処理しきれない、繁忙期やキャンペーンで一時的に手を厚くしたい、といった局面です。後者は、新しい営業スタイルを社内に持ちたい、チームとして動かす設計から作りたい、といった局面です。この問いを飛ばして「採用か外注か」だけを議論すると、人員の話と機能の話が区別されないまま、判断の軸がそろわなくなります。

外部活用を検討する多くの場面は、「営業機能が足りない」という課題に近いです。たとえば、紹介や深耕中心の会社がアウトバウンドを新設したい、アウトバウンド中心の会社がインサイドセールスを足したい、新規事業で別の営業スタイルを短期で試したい、といったときです。いずれもまず足りないのは営業機能です。正社員を一人ずつ採用して育てるか、外部のプロチームを一括で起用し、型やノウハウを社内に取り込むか。どちらを選ぶかで成果が見えるまでの時間と打ち切りのしやすさが変わります。ここで比べているのは採用と外注という呼び方ではなく、機能を社内に立ち上げる進め方の違いです。

外部活用の全体像:法人の代行から、個人・プロ・チームまで

「外部に任せる」と一言で言っても、契約の型と期待できる範囲は次のように分かれます。いずれも、契約や運用を具体化する段階で種類ごとに整理しておくと、統制や責任の分担を設計しやすくなります。

  • 営業代行・支援会社:一定の体制と管理機能を伴い、継続運用に向いています。顧客へ連絡するときの名義(誰の会社名で連絡するか)や、成果と対価をどう結びつけるかは、契約書と運用ルールで柔軟に設計できます。
  • 個人のプレイヤー:特定の工程や期間に人手を足し、縮小や終了もしやすいです。属人化への対処と引き継ぎ条件を先に決めておくと安全です。
  • プロフェッショナル人材:設計・マネジメント・営業マニュアルの整備など、営業の仕組みづくりを担うことがあります。採用でミドルマネジメント層を確保しにくい領域ほど、外部から戦略的に起用する選択肢が現実的になっています。
  • 営業チーム単位の活用:アウトバウンドやインサイドセールスなど、チームとしての役割を一括で組み込み、社内の採用と並行して立ち上げます。日々の運用と品質管理まで外に任せるか、実行部分だけを任せるかは、設計の出発点になります。

いずれも「正社員として社内に抱える」以外の選択肢ですが、正社員雇用と並べて同じ基準で比較できます。どれも「立ち上がりの速さ」と「社内に残す範囲」という共通の軸で見られるからです。これは採用に対する外注という対立軸ではなく、営業機能を社内で立ち上げるか、契約で外部から起用するかという設計の選択です。違うのは、統制の設計、責任の分担、ノウハウを社内資産にする条件の設計です。販売代理店のように販路そのものが変わる形態も含め、顧客接点と成果の定義が形態ごとにどう変わるかだけは、早い段階で定義をそろえておくと安全です。

なぜ今、外部のプロ人材が現実的な選択になりやすいか

営業領域では、経験の厚い人材が独立して活動する例が増え、ミドルマネジメント層以上を正社員として確保する難しさが以前より話題に上がるようになっています。程度は業界や採用環境によって異なります。ただし、「採用できないから外注する」だけでは社内を動かしにくい場面では、外部の専門性を戦略的に活用するという整理のほうが、稟議にも現場にも通りやすいです。

あわせて、営業職に求められる仕事の中身も変わりつつあります。インサイドセールスの定着、アウトバウンドの再設計、顧客管理システム(CRM)を前提にした日々の運用、生成AIを前提にした架電・メール・商談準備の設計など、型と運用をセットで設計する比重が高まっています。ハイキャリアの営業やマネジメント人材を外部で活用することへの抵抗感は、以前より小さくなっています。

スタートアップのようにスピードと人材の流動性が前提の環境だけの話ではありません。大手企業でもプロ人材の活用は広がっています。一般論としては、採用で人数を増やすより、チームとして営業機能を組み込む方が立ち上がりが早い場面は少なくありません。四半期単位で成果を出したい局面では、採用より先に機能の立ち上げを優先できるかどうかが、判断の分かれ目になります。

営業の仕事は型で分かれる

アウトバウンド、インサイドセールス、紹介や代理店を含むパートナー営業、既存顧客の深耕など、呼び方は重なりもありますが、必要なカルチャーとスキルはかなり異なります。同じ「営業部門」でも、営業の型が違えば、成功の定義・日々の進め方・顧客管理システムの使い方まで変わります。

ここで問い直したいのは、「何名足りないか」より先に、どの営業機能が社内に不足しているかです。不足している機能を正社員採用で立ち上げる方法もありますが、検証や立ち上げにかかる時間をどう見るかが分かれ目になります。外部活用を社内にない営業機能を立ち上げる手段として捉えると、比較すべき候補も、契約で定める範囲も、社内への説明も筋が通りやすくなります。

雇用形態より先に:営業機能を組織づくりの打ち手として捉える

人員か機能かを切り分けたうえで、初めて正社員として内製するか、契約で外部に任せるかのバランスが意味を持ちます。外部のプロ人材やチームは、リストに沿った実行だけを担う場合もあれば、営業マニュアルの整備、毎週のレビューの設計、社内への引き継ぎ条件の設計まで含む場合もあります。後者は「人手を借りる」より、営業組織づくりそのものに近いです。「採用か外注か」という二択ではなく、機能をどう社内に根づかせるかという投資として説明できます。

不足する営業機能や新しいチームの立ち上げを外で補う考え方は、単なるコスト削減ではありません。成果を共に作る関係として位置づけると、改善のサイクルが回りやすくなり、責任の分担も決めやすくなります。

典型パターン:人員ではなく営業機能が欲しいとき

すべての企業に当てはまるわけではありませんが、次のような局面は、人数が足りないのではなく、まだ社内にない営業機能を足したいという整理に近いことが多いです。そのうえで、外部のプロチームを一括で起用する方が合理的になることがあります。

  • 紹介や既存深耕が中心の会社が、アウトバウンドのチームを新設したい。
  • アウトバウンド中心の会社が、インサイドセールス機能を足したい。
  • 新規事業や試作で、主力事業とは異なる営業スタイルを短期で試したい。

いずれも、必要なのは「人数」だけではなく、日々の運用・品質管理・手順の言語化まで含むことが多いです。外部に任せる範囲が広がるほど、社内の管理が手薄になるリスクがあるため、誰に改善の責任があるかを事前に決めておくと安全です。

テレアポや架電を外部に出すときの目安(役割分担)

テレアポや架電のように、進め方がはっきりした工程ほど、外部活用の検討が進みやすい一方で、役割分担の設計が曖昧だとトラブルが起きやすいです。期待してよいのは、合意したリストとトークに基づく実行と、その結果に基づく改善提案です。過剰な期待になりやすいのは、トーク内容の細かな調整まで外に任せたまま社内のフィードバックが止まること、活動量だけを追いかけて質の議論が後回しになることです。

成果と対価をどう結びつけるかも重要です。件数や架電数だけを評価基準にすると、難易度の高いターゲットへの取り組みが正当に評価されないリスクがあります。契約に進む前に、どの段階までを外部の成果とみなすかを言葉にしておくと、発注企業と候補企業の双方にとって安全です。

役割分担と改善のサイクル

期待してよいのは、合意した範囲の実行と、その範囲に基づく改善の提案です。ただし、市場の反応や商談内容が社内に共有されないまま、改善だけを求めるのは過剰な期待です。ブランドやコンプライアンスのルールが曖昧なまま顧客接点を広げることも、同じく過剰な期待にあたります。

サイクルとして整理すると次のようになります。外注先から発注企業へは、活動量だけでなく反応の質・典型的な失注理由・次の打ち手案が共有されます。発注企業から外注先へは、商談の結果、優先順位の変更、禁止事項の追加や変更が共有されます。

このやりとりが毎週成立するかどうかで、短期の立ち上がりを中期の成果につなげられるかが決まります。発注企業側は、進捗の確認にとどまらず、活動結果をもとに仮説を立て直す必要があります。具体的には、対象リスト・トークスクリプト・優先順位を必要に応じて見直せるかが、成果を左右します。

どう判断するか:五つの観点

次の五つは、ここまでの議論を整理するための枠組みです。採用か外注かを決めるためのチェックではなく、人員と機能のどちらに課題があるかを整理したうえで、内製と外部の組み合わせを選ぶためのチェックです。各観点の答えが「外部に任せる根拠」または「内製に留める根拠」のどちらに近いかを確認しながら読んでください。

  1. 期限とスピード:いつまでに、どの状態を「立ち上がった」とみなすか。正社員採用にかかる時間を待てるか。 四半期以内に成果が必要なら、外部活用を優先的に検討する根拠になります。
  2. 立ち上げたい機能:足りないのは人数か、社内にまだない営業の型か。後者なら、どの工程まで外に任せるか。 型そのものが社内にないなら、外部から型ごと持ち込む選択肢が現実的です。
  3. 社内に残すもの:営業マニュアル、顧客データの扱い、重要顧客との接点など。どこまで内製化するか。 外部に任せる範囲が広いほど、ノウハウを社内に引き継ぐ条件と期限を契約前に決めておく必要があります。
  4. 統制とブランド:顧客へ連絡するときの名義、活動記録、承認の流れ、コンプライアンス対応。外部に任せる許容度と、研修やチェックの工数見込み。 統制の設計工数が社内に取れないなら、任せる範囲を絞るか、設計ごと任せられる相手を選ぶ判断になります。
  5. 経営の関与:本気の投資か、試験的な取り組みか。後者なら、打ち切りの条件と本格化に移す基準を併せて決めておく。 試験として始めるなら、期間と評価基準を先に決めないと判断の先送りが続きます。

五つの答えが揃わないのは珍しくありません。そのときは、任せる範囲を狭める、検証と本番を期間で分ける、外部は設計だけにとどめる、といった業務範囲の調整で一度方針を固めます。そのうえで、依頼内容と責任範囲を文書化し、契約条件の確定や候補企業との面談に進むとよいでしょう。

まとめ

採用か外注かから議論を始めると、人員の問題なのか機能の問題なのかが混同されやすくなります。先に人員か、営業機能かを明確に切り分けてから、内製と外部の組み合わせを選ぶ順番にすると、経営への説明と現場の進め方が一貫します。

外部活用を営業代行だけに狭めると、選択肢がさらに絞られます。個人のプレイヤー、プロフェッショナル人材、チーム単位の活用まで含め、社内にない営業機能を立ち上げる視点に立つと、立ち上がりの速さや型づくりの進め方も判断材料に入れられます。

営業外注を漠然と検討するのではなく、特定の課題に対して特定の専門性を調達する手段として定義し直すことが、最初の一歩です。

カクトク編集部

執筆:カクトク編集部

本コラムは、カクトク編集部が事業・顧客事例・業界動向を踏まえて執筆・編集しています。

竹島和史

監修:竹島和史

カクトク創業初期メンバーとして約10年間、営業支援事業に従事。独立・事業成長支援の現場経験と、立教大学MBAでの研究を踏まえ、実務と学術の両面から監修する。

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